2023.02.11-02.19
INSOMNIA / Waiting for the wave
THE SECRET MUSEUMでは
2023年2月11日 – 2月19日の期間、アートブック「INSOMNIA / Waiting for the wave」の
リリースに合わせて、ペインター・谷崎桃子による個展「INSOMNIA / Waiting for the wave」を開催いたします。
谷崎は、間接的なコミュニケーションが広がる現代に対峙するかのように、
絵画という直接的に身体を介する表現方法を主に用いて、
人間の感情や他者との関係性を提示する作品を発表してきました。
生活の中で取るに足らない生活の中の風景や愛情を主に表現してきましたが、
近年は、言うにはばかる病的な感情や、
人間のネガティブと言われる部分をありのまま表現することで肯定的に捉える試みをしています。
本展はパンデミック以降に制作した「不眠や不調」をモチーフに制作した
作品で構成されたそれに関連した作品を発表します。
tata bookshop / galleryに続き、
THE SECRET MUSEUMでは2022年から取り組んでいるセラミック作品を中心に展示します。
セラミックは作者にとって、モチーフの形にダイレクトにアクセスすることができ、
温度感を感じられる素材であり、今まで絵画で描いていた風景のような
生活の中の些細な空間に溶け込む素材として、新たな試みとして位置付けられます。
THE SECRET MUSEUMでは、ホワイトキューブではない
生活空間に近い展示空間で展開し、生活の中の不眠や不調を表現します。
セラミック作品を中心に様々な手法を用いて、
感情的な困難や精神的な不調に人がどう共存し回復に向かうかの考察と回答を、どうぞこの機会にご高覧ください。
©︎ Momoko Tanizaki All Rights Reserved
作家プロフィール / Artist Profile
谷崎桃子/ Tanizaki Momoko ペインター
現代において様々な行為の主体性があらゆるもの譲渡されている中、
感情を手掛かりに人間の生活や他者との関係性のあり方を、
絵画という直接的に身体を介する表現方法を用いて、提示する作品を発表している。
主な展覧会に「heart break」(THE SECRET MUSEUM、2021)
「LONERYLONERY論より証拠」(komagomesoko駒込倉庫、2020)
「Lonery girl もう時間」(2019、Tokyo Arts and Space本郷)「Studio Exhibition」(2018、大野智史スタジオ)など。
website: https://www.momokotanizaki.com/
instagram: @momomo252 (https://www.instagram.com/momomo252/?hl=ja)
©︎ Momoko Tanizaki All Rights Reserved
ステートメント
「不眠症と波を待つこと」
私は長いこと人間の強い感情に興味があり、とりわけ最近は病的な感情、
苦痛や心理的な傷を負うことに対しての向き合い方に強い関心がありました。
不調の改善のための様々な医学的・論理的なアプローチはありますが、
それらの症状のファクターは、人として生きる上で排除できないものと考えます。
病的な感情・憂鬱・倦怠・喪失、それらを取り除き改善するのでは無く、
ありのまま受け入れることがあらゆる回復に向けた一つの私の回答です。
パンデミックの間、家での生活時間が長くなり昼夜逆転し、
不眠とそれによる何もできない時間が、一種の強迫観念のように私を悩ませました。
サーフィンを始めたのもこの不眠症と同時期で、波は不調や感情に近いことに気づきました。
沖に出るために波に直撃しない様にうまく潜って波をかわすこと。
激しい波を食らうと様々な器官に海水が侵入し苦しいこと。
また押し寄せてくる波にうまく乗ると、押される瞬間に大きなパワーを生み景色が変わること。
波が全くない日はノーサーフと呼ばれサーファーには嫌われますが、
全く波がない場所でただ水平線を微妙に上下しながら波を待つことが、
不眠のまま眠ることができず何もできない時間に重なります。
それらが永遠と繰り返されるコントロールができないものと捉えると、
その静かな時間でさえも愛せるのです。
この経験を起因として、不眠や不調に着目した作品を多く制作しました。
タバコやコーヒーなどの嗜好品や薬
熟睡する恋人を嫉妬深く見つめる朝まで眠れない人
眠れない時間にひたすら見ると落ち着く火の揺らぎ
深夜にスマートフォンに照らされる人
朝方マジックアワーにピンク色の太陽に照らされサーフィンに向かう人
精神的な不調や病的な感情などといった言及することを躊躇するような事を、
いかにしても自分の中で不純なものとして濾過せずに純粋なものとして描きたいのです。
そんな無意味にも見える瞬間を描いた作品が、
「こんなノーサーフな日に乗れるはずのない波を待ち続けている人」を見たときに
私が感じた、励ましに似たエンパシーを生むことができたら、
一つの論理的ではない救いに近づけるのではないかと。
その風景を思い出しながらこの文章を書いています。
開催期間
2023年2月11日 – 2月19日 金曜 土曜 日曜のみ
営業時間 16:00-19:00
休廊日 (月曜から木曜)
渋谷区神宮前5−21−2 2F (入り口 階段を上がりました空間になります。)
instagram: https://www.instagram.com/thesecretmuseum_/@thesecretmuseum_
mail: info@thesecretmuseum.tokyo