THE SECRET MUSEUM
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2022.02.25-03.26

色差異論

THE SECRET MUSEUMでは第15回目の企画展として

写真家Takto Ando(タクト アンドウ)による個展「色差異論」を開催いたします。

 

 

                           ©︎TAKTO ANDO ALL Rights Reserved

          Model: Takahiro Yagvchi

                            Nails: Yuhko Ogawa / yodvav nails

 

本展では、2021年に撮影したヌードポートレイト作品を中心に、

2019年に同一人物を二つのシチュエーションで

撮影したシリーズ「EQUINOX(エキノクス)」も併せて展示します。

展示タイトルは、ゲーテの「色彩論」に由来しています。

太陽光をプリズムに通すことで七色に分解できることを

発見した科学者ニュートンへの批判を発端として書かれたこの書物には、

科学技術が進歩した未来を危惧する記述も存在します。

Ando曰くその「未来」はちょうど2020年前後、まさに現代にあたるのだそうです。

身体的に男性である被写体を捉えた一連のヌード作品には、ポージングや構図などをはじめ

一般的に「女性ヌードのもの」とも捉えられるボキャブラリーが見られます。

EQUINOXシリーズ含め、二項対立と思われがちな様々な事象を同居させた作品に対し、

Andoは鑑賞者の理解、分類、命名を求めていません。

仮にこれらの作品を理解する手段として何かしらの言葉が充てがわれたとしても、

それがあることでまたひとつ「真の理解」から遠ざかるのだと話します。


また、どんな芸術表現でも裸は必然的にエロティシズムを含む一方、

それを「ポルノ」と感じる人間の邪心や反応、

それらが写真のサイズや色彩の有無によって左右される点が興味深い、とAndoは語ります。

今回会場として選んだSECRET MUSEUMに

パリのエロティズム美術館に近しい空気を感じたこと、

また写真の発展普及に裸体の写真表現が寄与していた歴史的文脈も絡め、

本展では「ある仕掛け」もお楽しみいただけます。


社会情勢がめまぐるしく変化し、様々な情報や標語が氾濫し、

論理的な確証を重んじる風潮も加速して久しい昨今。

まさしくゲーテが著したとおり、命名や分類によって正体を突き詰めたつもりになろうとも、

そこに本質は存在しないということ、一方で人間が枠組みをできる限り

手放した結果獲得できる新たな可能性を、本展は提示するでしょう。

紹介文 瀧瀬彩恵 http://ayaetakise.me

 

         ©︎TAKTO ANDO ALL Rights Reserved

          Model: Takahiro Yagvchi

                            Nails: Yuhko Ogawa / yodvav nails

 

展示概要

 

展示タイトル

「色差異論」

会期:2022.2/25(金)−3/26(土)

営業時間:13:00-19:00

休廊日(月水木)

入場無料

会場:東京都渋谷区神宮前5−21−2

お問い合わせ:03-3797-3019

info@thesecretmuseum.tokyo

 

Ando Takto プロフィール

1982年東京生まれ

2007年大学中退後、アシスタント時代を経て以後フリー

2019年新たな原点としてTakahiro Yagvchiを被写体に“EQUINOX”を撮影

2020年同内容をスライドとして、モデルによるポエトリーリーディング・

自身による楽器演奏と合わせライブ上映

2021年撮影の“Mourning In Red (Play)”と併せ

本展示「色差異論」の“色差異論” “EQUINOX”はTakahiroを被写体とした三連作である。

www.pointrinc.com/

 

【ステートメント】

ニュートン光学への反駁たるゲーテの『色彩論』から200年の後にあって、

その言わば黙殺された警告がいかに先を見るに明るかったかを

再び見出したのは、本展の撮影に先立ち漠々と夢想していた折であった。

勿論、ロケットを飛ばして月の裏側を暴いてやりたいといういかにもな男性原理を満たすためには、

その間ゲーテにはしばし隅にのいておいて貰う必要があったわけで、

科学がその信奉者たる物見高い市民らに種々の現世利益をもたらした歴史は、

パリのエロティズム美術館でも総覧できる。

そして今や分光プリズムが大仰ないでたちをひそめ、

極薄の形でひとりひとりの部屋の一角や或いは掌の中を支配するに至ってはもはや、

我々はその微睡みを誘う慰みの悪癖から脱け出す術を失ったようだ。人の眼では解像できない程

小さく隙間なく並べられたドットの一片に一羽のブロイラーを見出すなら、

整然と見えた一切が途端に不愉快で居心地の悪いものに変質してしまうだろう。

本展はそうしたゆらぎを契機として始まった私個人のエクソダスの現在地を標すものである。

 

 

※ご入場の際にはしっかりとマスク着用、消毒、検温をお願いしております。

体調の優れない方はご遠慮いただいてますのでよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

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